2019年1月21日 - 希咲クリニックスタッフ

Dr.ネルソンと学ぼう「男性と女性の話(LGBTについて) 」

こんにちは! 院長の山分ネルソンです!

 

女性医学の情報に関して、下記の動画を是非ご参照下さい。

https://m.youtube.com/channel/UCDo7QycwRLdN3wbbQwx_nUw

 

今回は、男性と女性の「性」についてお話しします。

私たちが男性と女性を区別する時は、容姿や外見、生殖器など様々な情報から判断することが多いです。

生物学的な判断するための情報としては、

例えば男性の染色体の46+XY型、女性の染色体46+XX型など、目に見える情報が挙げられます。

このように性別を判断する時は、見た目などの情報から判断することがありますが、

実は、脳にも女性型や男性型などのタイプがあるのです。

 

 

 

◇◆1.人間の脳にも性別がある◆◇

脳は、記憶や感情、行動など、様々なコントロールを行う場所としての機能がありますが、

「性別」があることが最近の研究で分かってきました。

例えば、男性型の脳の特徴として、男である自覚や性の対象が女性であること、

異性に惹かれたいと思い男性らしく振る舞うこと、人格などが挙げられます。

逆に、女性型の脳の特徴は、女性としての自覚や異性の対象が男性であること、

男性に好かれるような行動をすることなどがあります。

このように、生物学的な見た目の性別だけでなく、脳にも男性女性などのタイプが存在するのです。

 

◎脳のタイプはどうやって決まる?

脳にも男性型、女性型のように性別があるとお伝えしましたが、ホルモンと深い関係があります。

性ホルモンには、下記のような種類があります。

• 女性ホルモン:プロゲステロン、エストロゲン
• 男性ホルモン:テストステロン

性ホルモンは、胎児の性別を決める性分化にも大きく影響しています。

 

◎テストステロンの作用により男性型になる

性ホルモンは女性ホルモンと男性ホルモンの2種類がありますが、

胎児の性別を決める際には、テストステロンが重要になります。

胎児期に男性ホルモンであるテストステロンの作用を受けた結果、

生殖器と脳が男性型になると言われています。

このテストステロンの影響に関して、猿を使ったある実験が行われました。

メスの赤ちゃんを妊娠している母猿に、妊娠中にテストステロンを投与すると、

生まれたメス猿はオスとしての生殖行動や振る舞いなどの行動が見られました。

この実験から、胎児期にテストステロンを浴びることにより、

男性になろうとすることが分かったのです。

 

◎脳のタイプはテストステロンによって左右される

先ほどは猿の親子の実験により得られた結果ですが、

人間の場合も病気などが原因で引き起こされることがあります。

副腎から男性ホルモンを勝手に作ってしまう病気にかかっている場合は、

胎児期に男性ホルモンに晒されてしまうため、女子として出生しても、

生後は男児のような遊びをする傾向があると言われています。

人間は、胎児期にどれだけテストステロンにさらされるかによって、

男性、女性として振舞ったりすることが決められるのです。

つまり、脳のタイプはテストステロンによって影響されることが分かります。

 

◎女性型の場合は何も作用を受けない

先ほどの項目では、脳のタイプはテストステロンによって男性型になることをお伝えしました。

何も作用を受けない状態が「女性型」です。

胎児の性分化の過程において、内性器は女性が基本となっています。

内性器が精巣に分化することで男性ホルモンであるテストステロンが分泌されて、男性型になります。

内性器が卵巣に分化しても、分化する前の性器の基本は女性なので、女性型となるのです。

 

 

◇◆2.体は男性なのに脳は女性として認識するのはなぜ?◆◇

脳のタイプはテストステロンによって影響されることをお伝えしましたが、中には、

生物学的に男性であり精巣もありテストステロンが分泌されているが女性として自覚している人もいます。

胎児期にテストステロンを浴びているはずなのに「脳は女性型」になるのはなぜでしょうか?

 

◎テストステロンの効力が発揮できないことが原因

生物学的に男性ですが、脳は女性型という人も存在しています。

原因は色々考えられますが、胎児期に受けたテストステロンの効力が発揮できていない可能性が高いです。

胎児期に受けたテストステロンは、「鍵」のようなものであり、「鍵穴」である受容体に入り込むことで、

本来の作用を発揮できます。

男性ホルモンのテストステロンの受容体の欠損や不完全な場合などは、

テストステロンが放出されても効力を発揮できないため、影響を受けることができないのです。

テストステロンの影響を受けられない結果、体は男性であっても脳が女性型になり、

女性としての振る舞いなどの行動が見られるのです。

 

◎脳の性別も大事であることが分かってきた

最近の研究では、胎児期に受けるホルモンの影響により脳のタイプが決まることが分かり、

「脳の性別」も大事であるとの認識も高まっています。

身体は生物学的には男性であっても、ホルモンの影響により脳は女性になることもあるため、

脳と体の性が乖離してしまうのです。

そのため「見た目も生殖器も男性、だけど心は女性」などのように、

当人が経験してきた性の不一致などが見られます。

 

 

◇◆3.体と脳の性別の乖離が性同一性障害(GID)◆◇

脳の性別に関しては、あくまで自分の認識によるものであり、他人が気づくことはできません。

理由までは分かっていませんが、女性だけど男性になりたい、男性だけど女性になりたい

と思うケースが見られます。

 

◎体と脳の性別の乖離(かいり)が起こる時期

脳と体の性の乖離が起こる原因としては、身体の分化の時期が大きく関係しています。

• 生殖器は妊娠の早い段階で変化が起こる
• 脳の性分化は妊娠の半ば過ぎくらいから起こる

生殖器の性分化は、脳の性分化に必ずしも影響するとは限らないため、乖離が起こるのです。

 

◎性同一性障害(GID)が起こる原因

性同一性障害(GID)が起こる原因の一つとして、男性ホルモンの作用が挙げられます。

とある研究によると、身体的には男性であり、

女性と認識している性同一性障害(GID)の人の脳を細かく調べた結果、

脳の形態は女性としての特徴を示すデータが得られました。

この結果から、脳の性が決まる妊娠半ば過ぎの時期に男児が胎内でテストステロンを産生できなかったか、

作用できない状態であることが性同一性障害(GID)の原因の可能性であることが分かります。

逆に女性の性同一性障害(GID)の場合は、

男性ホルモンが多少なりとも作用した可能性が高いことが考えられます。

しかし、脳が男性型、女性型になるかは、胎児期のホルモンの作用のみでは説明できず、

生後の幼児期の環境や関わりなども大きいと言われています。

 

◇◆4.性同一性障害(GID)とレズビアン、ゲイは違う?◆◇

性同一性障害(GID)は、生物学的な性別と脳の性別が乖離している状態のことを指します。

誤解されやすいものとしてレズビアンやゲイ、バイセクシャルなどがあります。

それぞれの違いについて、見ていきましょう。

 

◎レズビアンは性の対象が女性

レズビアンは、生物学的にも社会学的にも女性であり、

自分自身のことも女性として認識しています。

ただし、恋愛や性の対象は女性であることが特徴です。

 

◎ゲイは性の対象が男性

ゲイは、生物学的にも社会学的にも男性であり、自分のことも男性として認識しています。

ただし、恋愛や性の対象はレズビアンと同様に男性であることが特徴。

 

◎バイセクシャルは性の対象が両方

バイセクシャルは、生物学的や社会学的な性別関係なく、

恋愛や性の対象が男女の両方であることが特徴です。

 

 

◇◆5.LGBTとは?◆◇

最近では性の多様性について表現する際に、「LGBT」という表現が使われることが多いです。

「LGBT」は、それぞれの単語の頭文字を取ったものになります。

• L:Lesbian(レズビアン)
• G:Gay(ゲイ)
• B:Bisexual(バイセクシャル)
• T:Transgender(トランスジェンダー)

 

セクシャル・マイノリティー(性的少数者)とも言われていますが、

日本では5%を超えているとのデータもあります。

4割以上の国では、LGBTの権利などが認められておらず、不利な状況に置かれているのが現状です。

彼らに対するサービスや配慮、権利向上などを目指した運動などが、欧米を中心に高まっています。

 

◎LGBTのような多様性を認めることも必要

最近では、医学的にホルモンが脳の性差に影響することなどが分かっています。

一昔前は、LGBTに対して偏見や差別などもあり、辛い思いを経験した人も多いでしょう。

医学的に解説できる現代では、LGBTの彼らのことを変人などのように表現するのは不適切です。

性別は男性、女性などのように2つに分けるのではなく、

性の多様性を認めることも必要な考え方であると思います。